絵本読み聞かせ/4歳からおすすめ「はたらきもののじょせつしゃけいてぃー」

絵本の内容

「けいてぃー」はキャタピラのついている、赤くて大きなトラクターです。ブルドーザーをつけると土を押し、除雪機をつけると雪をかきのけることができるはたらきもののトラクターです。夏中は道を直す仕事をしますが、冬になると雪の少ないうちは大きくて力の強い「けいてぃー」は車庫でじっと待っていなければなりません。

ある日、雪が降り始め、ほかの雪かきトラックが出動していきました。雪はまだまだ降り続き、いよいよ「けいてぃー」の出番です。2階の窓まで積もるような大雪で雪かきトラックはつぎつぎと動けなくなります。学校も店も工場も休みになり、駅や飛行場は出入りできなくなり、警察署も郵便局も病院も消防署も困り果てています。街中が雪で覆い隠され、何もかもが動けなくなりました…。

ただ一人「けいてぃー」を除いては!

雪をかきのけて前進する「けいてぃー」はどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。街を人々を救い出すことができるのでしょうか。物語の続きは、ぜひ絵本を手にとって読んでみてください。

主なテーマ

この絵本の主なテーマは、「はたらくことの喜びとやりがい」「自分の役割に全力で立ち向かうこと」そして「街はさまざまな施設で構成されていること」です。

「けいてぃー」は自分の仕事に誇りを持ち、常に人々の役に立ちたいと思っています。しかし、冬になるとその大きさと力の強さのゆえに雪が少ないときには出番がありません。それでも、ひとたび大雪になると力を発揮します。「けいてぃー」は自分の力を信じて、一歩も引かずに先頭に立って活躍します。

この絵本は、子どもたちに自分の可能性を信じることや、自分のやるべきことを精一杯に取り組むことの大切さを教えてくれます。

また、この絵本は、街を構成するさまざまな施設を教えてくれます。警察署や郵便局、病院、消防署などの公共施設から百貨店やホテル、パン工場などの民間施設まで、街を構成するさまざまな生活空間の施設が描かれています。

作品のカテゴリー

この絵本の原書は、「Katy and the Big Snow」というタイトルで1943年に発表された世界的な名作です(日本版は1978年に発行)。そのため「定番・名作」のカテゴリーに属するとも考えられますが、このサイトでは「社会・人間関係」を選択しました。

なぜなら、この絵本は、「けいてぃー」がほかのトラックや、街の人々との関係を通して、自分の役割や価値に焦点をあてた物語だからです。社会や人間関係の中で自分の居場所を見つけることの大切さや素晴らしさを描いています。

おすすめのポイント

この絵本のおすすめのポイントは、「けいてぃー」のさっそうとした活躍ぶり街の風景が繊細に描かれた絵です。

 「けいてぃー」は、雪をかきのけながらぐんぐん進んでいきます。街の人々は「けーてぃー」を頼りにしていて、「けーてぃー」もその期待に応えるため全力で進みます。

「けいてぃー」の「よろしい、ついていらっしゃい」という言葉は頼もしく自信にあふれています。ともすれば、横柄に聞こえてしまう言葉でも「けいてぃー」が言えば嫌味に聞こえません。普段から街や人々のために一生懸命に働いているからこそです。「けいてぃー」の実直な性格が街の人々との会話から感じられ、読むものに感動や共感を与えてくれます。

画家、デザイナーとしても活動していた作者のバージニア・リー・バートンが描く絵は、色彩や構図が美しく、街の風景は繊細に描かれています。街を構成するさまざまな施設や雪に埋もれた街の様子が細部まで表現されています。

読み聞かせのヒント

この絵本には、「ちゃっ!ちゃっ!ちゃっ!」という小気味よい効果音が絵の中に散りばめられ、「けいてぃー」の動きに合わせて、テンポよく繰り返されています。また、「けいてぃー」の「よろしい、ついていらっしゃい」という言葉も物語の区切り区切りで繰り返されます。子どもたちは言葉やリズムの繰り返しが大好きです。それらを読むときは、声の高さや強さを変えてみると、「けいてぃー」の進む速さや力強さがわかりやすく、物語がよりドラマティックに展開していき、子どもの視覚と聴覚を刺激することができます。

この絵本は、街を構成するさまざまな施設が描かれ、一つひとつに施設名が表記されています。くまなく読んでいくのは大変かもしれませんが、先を急がずにゆっくりと読み進めて絵をじっくり見せることで、子どもの観察力を刺激します。絵本を開くたびに新しい発見があるかもしれません。

さらに、読み進める過程で子どもに質問を投げかけてみると、子どもの想像力や思考力を引き出すことができます。「もし自分がけいてぃーだったらどうする?」と想像させ、「けいてぃー」がどこに行くのか、人々との出会いや見える景色をどう感じるのかなどを尋ね、子どもの考えや意見に耳を傾けてみてください。

まとめ

「はたらきもののきかんしゃけいてぃー」は、自分の仕事に誇りを持ち、人々の役に立とうとするトラクターの物語です。大雪に見舞われた街で、ほかのトラックが動けなくなっても、一人で雪をかきのけて前進する「けいてぃー」の姿は勇敢で感動的です。

また、街を構成するさまざまな施設を細かく描いた絵は、子どもの観察力や知識を豊かにします。この絵本は、社会や人間関係の中で自分の居場所を見つけることの大切さや素晴らしさを描いた名作です。

読み聞かせをするときは、効果音や繰り返しの言葉を楽しみながら、絵をじっくり見せて、子どもの想像力や思考力を引き出してみてください。

この絵本は、自分の可能性を信じることや、自分のやるべきことを精一杯に取り組むことの大切さを教えてくれる素晴らしい作品です。ぜひ、手にとって読んでみてください。