絵本読み聞かせ/3歳からおすすめ「いいこって どんなこ?」

絵本の内容

「いいこってどんなこ?」は、うさぎのバニーぼうやが、お母さんに「ねえ、おかあさん、いいこって どんなこ?」と尋ねるところから始まる物語です。

バニーぼうやは、いい子とは何か、自分はいい子なのか、お母さんは自分をどう思っているのかを知りたくて、お母さんにたくさんの質問をします。お母さんは、バニーぼうやの質問に一つひとつやさしく答えてくれますが、その答えは、バニーぼうやが想像していたものとは違っていました。

お母さんは、いい子とはどんな子なのか、バニーぼうやに教えてくれるのでしょうか。物語の続きは、ぜひ絵本を手にとって読んでみてください。

主なテーマ

この絵本の主なテーマは、「自己肯定感」と「親子の愛情」です。バニーぼうやは、自分がいい子なのかどうか、お母さんが自分をどう思っているのか、という不安や疑問を持っています。

子どもはその小さな心に、さまざまな不安を抱えています。自分のダメなところ、弱いところ、悪いところを肯定できるわけではありません。自己肯定感は、親などの養育者からの愛情を受けて自分の存在をまるごと認められることで、自らの個性や自分らしさとして受け入れながら育まれていきます。

そして、その自己肯定感をベースに自らの努力や周りからのサポートによって達成感や成功体験を積み重ねて自立していきます。失敗して落ち込むこともありますが、幼いころ育まれた自己肯定感の土台があれば、困難を乗り越えて再び前に進むことができるのだと思います。そう教科書通りにはいかないものですが。

作品のカテゴリー

この絵本は、親子の日常の会話を通して、子どもが自分自身について考え、自己認識を深めていく様子を描いていることから「発達・自己形成」のカテゴリーに分類できます。

自分の存在や価値、周りの人たちとの関係に不安を抱える子どもたちに、自分らしさや親子の愛情を伝えることの大切さを教えてくれる作品です。

おすすめのポイント

絵本のタイトルにもなっている「いいこってどんなこ?」という疑問や不安は、ある時期の多くの子どもが抱える感情なのかもしれません。この絵本でお母さんは、バニーぼうやのそうした疑問や不安に対して、優しく丁寧に答えてくれます。お母さんの言葉は、子どもの感情や個性を否定せず、受け入れることの大切さを教えてくれます。

お母さんのまっすぐな言葉は、子どもの感情や思考を理解する上でのヒントになります。子育てにイライラすることもあるかもしれません。そんなときこの絵本を開いてみることをおすすめします。

ロビン・スポワートさんが描く絵は、この物語の世界観を引き立てています。ふわふわとしたぬいぐるみのようなやわらかくあたたかみのあるタッチで、バニーぼうやとお母さんの愛らしい姿やしぐさが描かれています。その絵からは、バニーぼうやの気持ちやお母さんの愛情が溢れています。絵を見るだけでも物語に引き込まれることでしょう。その美しい絵は、インテリアとして部屋に飾っても映える一冊です。

読み聞かせのヒント

この絵本を読み聞かせる際には、親子の会話をリアルに感じられるように、お母さんとバニーぼうやになりきって、声色やトーンを変えて質問と回答のやりとりを楽しむことがおすすめです。バニーぼうやの声は明るく元気に、お母さんの声はやさしく穏やかに読むと、絵本の世界に入り込むことができます。

さらに、バニーぼうやの質問に対して、子どもたちがどう思うかを尋ねることで、子どもたちの思考力や想像力を刺激することができます。例えば、「自分が『いい子』であることについて、どう思うか」「お母さんやお父さんの愛情を感じるときは、どんなときか」「自分がお母さんだったらどう答えるか」など、子どもたちの意見を引き出す質問を投げかけてみてください。

子どもたちが幼いうちから自分の意見を話す習慣を持つことは大切です。親としては、何でも先回りしてお膳立てするのではなく、子どもたちが自分の考えを話す習慣を育てることが重要です。子どもたちが思いがけない意見や、驚くような考えを話しても、否定するのではなく、耳を傾けて一緒に考えてあげと、子どもたちも自信を持って話せるようになります。そのことが自己肯定感の醸成につながるのだと思います。

まとめ

この絵本は、子どもの自己肯定感と親子の愛情をテーマにした絵本です。バニーぼうやがお母さんに「いいこってどんなこ?」と尋ねる物語は、子どもの不安や疑問に寄り添い、やさしく答えてくれます。お母さんの言葉は、子どもの感情や個性を否定せず、受け入れることの大切さを教えてくれます。

この絵本は、子どもたちが自己肯定感を育むための素晴らしい絵本であり、親子の絆を深めるための有効なツールであると言えます。その美しい絵と、子どもたちが自分自身について深く考えるきっかけを提供する物語は、読み聞かせの時間をより楽しく、有意義なものにするでしょう。この絵本を手に取って、親子の絆を深める時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。