絵本読み聞かせ/6歳からおすすめ「いわしくん」

絵本の内容

「いわしくん」は、菅原たくやさんの作と絵による絵本です。この絵本は、日本の海で生まれた一匹のいわしである「ぼく」の一生を軸に描かれた物語です。

「ぼく」は、仲間たちと海で元気に泳いでいましたが、ある日、漁師の網にかかります。「ぼく」はどこに連れていかれるのでしょうか。そして、「ぼく」の運命はどうなるのでしょうか。物語の続きは、ぜひ絵本を手にとって読んでみてください。

主なテーマ

「いわしくん」の主なテーマは、「命のつながり」「食物連鎖」です。この絵本は、一匹のいわしの一生を描きながら、人間と動物の関係や、食べることの意味について考えさせてくれます。いわしくんは、海で生まれた仲間たちと一緒に泳いでいましたが、ある日、漁師の網にかかってしまいます。その後のいわしくんの一生をシンプルな言葉と絵で、命のめぐりを表現しています。

食べることは、命をいただくことであり、命を活かすことであるということを、子どもたちに伝えてくれます。また、人間と動物の共存や、自然の摂理についても、感じることができます。

作品のカテゴリー

この絵本は、いわしの一生を通して自然界の食物連鎖や命のつながりを描いていることから「自然・サイエンス」にふさわしいと考えました。

一方、いわしの視点で物語が展開されるという発想は「冒険・ファンタジー」の要素も含まれています。このような現実と空想の混合が子どもたちの知的好奇心を刺激するのだと感じます。

おすすめのポイント

この絵本のおすすめのポイントは、シンプルな言葉とインパクトのある絵、そして命のめぐりと食物連鎖の物語です。

言葉は、短くてシンプルですが、「ぼく」感情や状況が鮮やかに伝わります。絵は、色数を抑えたデザイン的なものであり、特に「ぼく」の大きな目が印象的で、場面ごとにさまざまな感情を表現しています。

物語は、起承転結が明快で「ぼく」に起きる出来事が、1ページずつシンプルに描かれていて小気味よく進んでいきます。そして、ラストの場面では、いわしの「ぼく」と人間の「ぼく」とが交差し、「ぼくはおよいだ」という言葉で、二人の「ぼく」の関係が感動的に表現されています。

何といっても最終ページの「いわしくん」の自然の摂理をすべて悟ったかのような表情が秀逸で必見です。もしかしたら、人間のエゴなのかもしれませんが、子どもたちに自然や命に対する敬意や感謝を育むとともに、自分自身の価値を見つけることを助けてくれると感じます。ぜひ、最後の「いわしくん」の表情を見てください。

読み聞かせのヒント

この絵本は言葉が短く、少ないのでただ読むとあっという間に終わってしまうので、ページごとに、いわしくんが何を感じ、何を考えているのかを子どもと一緒に考えてみてください。

読み進める過程で子どもに質問を投げかけてみると、子どもの想像力や思考力を引き出すことができます。「”食べる”とはどういうことだと思う?」「いわしくんがどう感じていると思う?」などを尋ね、子どもの考えや意見に耳を傾けてみてください。

また、ポイントとなるラストの繰り返されるキーワードを読むときは、一方は楽しげに、もう一方は力強く、感情を込めて読むと、物語がよりドラマチックに伝わります。

まとめ

この絵本は、一匹のいわしの一生を通して、命のつながりと食物連鎖について考えさせてくれる物語です。シンプルな言葉とインパクトのある絵で、いわしくんの感情や状況が鮮やかに伝わります。

ラストの場面では、いわしくんと人間の「ぼく」の関係が感動的に表現されています。

読み聞かせのときは、いわしくんが何を感じ、何を考えているのかを子どもと一緒に考えてみたり、子どもに質問を投げかけたりすると、より深く物語に入り込むことができます。

自然や命に対する敬意や感謝を育むとともに、自分自身の価値を見つけることを助けてくれる絵本です。ぜひとも手に取っていただきたい一冊です。