絵本読み聞かせ/4歳からおすすめ「くものすおやぶん とりものちょう」

絵本の内容

「くものすおやぶんとりものちょう」は、秋山あゆ子さんの作とふりやななさんの絵による時代劇絵本です。この絵本は、虫の町のお菓子屋に「かくればね」から盗みの予告状が届くというところから始まる物語です。

「くものすおやぶん」こと、おにぐもの「あみぞう」と、はえとりぐもの相棒「ぴょんきち」は、「かくればね」を待ち受けます。夜もだいぶ更けたころ現れたのは不思議なまっしろい「雲」でした。桜咲き誇る中、不思議な盗っ人を追う大捕物が繰り広げられます。

「かくればね」とは何者なのか、親分は、「かくればね」を捕らえることができるのでしょうか。物語の続きは、ぜひ絵本を手にとって読んでみてください。

主なテーマ

この絵本の主なテーマは、「勧善懲悪」と「義理人情」です。正義感の強い親分は、お菓子屋のアリたちを助けるために、相棒の「ぴょんきち」とともに盗っ人に立ち向かいます。親分は、善良な虫たちの味方であり、悪をなすものに対しては正義をもって対処します。

一方で親分は、ただ悪を懲らしめるだけではありません。その裁きの中にも寛大な心で接する度量の大きさも持ち合わせています。

親分の行動は、子どもたちに「悪をなす者には仲間とともに立ち向かい、そして寛大な心を持つことの大切さ」を教えてくれます。

作品のカテゴリー

この絵本は、虫たちの社会で起こる出来事を描いていることから「社会・人間関係」にカテゴライズしました。虫の町は、さまざまな種類の虫たちが暮らす多様な社会です。

この絵本では、それぞれの虫たちの個性や性格や行動特性にあったキャスティングがされています。蜘蛛は、網を張って獲物を捕らえる特徴を持ち、岡っ引きの役割がぴったりです。蛾は、羽の模様を周囲に合わせて姿を消すことができる特徴を生かして、盗っ人という役割を与えられています。

おすすめのポイント

親分のするどい目つきやぴょんきちの愛らしい瞳、かくえばねの不気味な姿など、虫たちが個性豊かで魅力的に描かれています。親分がかっこよく見えてくるのは、この絵本の魅力の一つです。

親分とぴょんきちがかくればねを追跡する場面や攻防の場面は、どれもテンポよく展開し、読者を楽しませてくれます。捕物劇がどんどん展開していき、読者をワクワクさせます。

文章は、時代劇風の言葉やリズムが心地よく、読者を物語の世界に引き込みます。この独特の文体が、虫たちの個性や行動を効果的に表現していて、物語を一層引き立てます。

読み聞かせのヒント

登場する虫たちの言葉やナレーションなど物語の全般を時代劇の講談風に読んでみると、子どもの興味を引くことができます。この絵本は、時代劇の要素が強いので、講談風のリズムがしっくりきます。そうした口上で読み聞かせを始めると、子どもたちはきゃっきゃと喜んだものです。

たまに当時を懐かしく思い出して「はるぅ らんまんのぉ むしのまちぃ~」と口上します。今では「くどい」と一蹴されますが…。

アリたちの不安さ、不敵に笑うかくればね、ぴょんきちの勇敢さや親分の冷静沈着さなど、声色やトーンを変えてみると、ドラマチックに物語が進み、楽しくなります。単純に物語を楽しむことができる読み聞かせに最適な一冊だと思います。

まとめ

「くものすおやぶん とりものちょう」は、子どもたちに「勧善懲悪」と「義理人情」の大切さを教えてくれる素晴らしい作品です。物語は虫の町で展開され、その中で親分とぴょんきちが正義のために立ち上がり、悪をなす者に立ち向かいます。その行動は、子どもたちに道徳的な価値を教え、物語に深く引き込ませます。

また、この絵本は、虫たちの個性や性格、行動特性に基づいてキャラクターが設定されています。親分のするどい目つきやぴょんきちの愛らしい瞳、かくればねの不気味な姿など、虫たちが個性豊かに描かれており、読者を物語の世界に引き込みます。

読み聞かせの際には、時代劇の要素を活かして講談風に読むことをおすすめします。そのリズムとともに、物語はテンポよく展開し、子どもたちはきっと喜ぶでしょう。

以上の点から、「くものすおやぶん とりものちょう」は、子どもたちに道徳的な価値を教え、楽しい読み聞かせの時間を提供する絵本として最適です。

それでは、素敵な、だけど束の間の読み聞かせライフをお楽しみください!