作:長谷川摂子 / 画:ふりやなな 出版社:福音館書店 初版:1990年3月15日 ページ数:32ページ サイズ:(H)19.5×(W)26.8cm / 重さ:270g
絵本の内容
「めっきらもっきら どおんどん」は、長谷川摂子さんの文とふりやななさんの絵による魅力的な絵本です。この絵本は、「かんた」が不思議な世界の夜の山でおばけ(妖怪)たちと出会うという、ファンタジー溢れる冒険物語です。
物語は、「かんた」が遊ぶ友達を探しているところから始まります。しかし、どこを探しても友達は見つからず、彼は一人で大きな声で歌を歌います。「ちんぷく まんぷく … … めっきら もっきら どおんどん」。
すると、突然、木の根元の穴から奇妙な声が聞こえてきます。好奇心に駆られた「かんた」が穴を覗き込むと、彼はその穴に吸い込まれ、知らない世界の夜の山にたどり着いてしまいます。
そこで「かんた」が出会うのは、見た目も名前もへんてこりんな三人の妖怪たちです。この不思議な世界で「かんた」は、どのような体験をするのでしょうか。もとの世界に戻ることができるのでしょうか。物語の続きは、ぜひ絵本を手にとって読んでみてください。
主なテーマ
この絵本の主なテーマは、「冒険心」と「多様性の受容」です。「かんた」は、へんてこな世界に迷い込んだことで、自分とは姿かたちの違う妖怪たちと出会います。最初は、その容姿や言動にとまどい拒んでいましたが、すぐに、彼らを受け入れて関係性を築きます。
それぞれの妖怪は自分の得意なことを披露し、「かんた」は引き込まれていきます。また、「かんた」は、想像もつかないような妖怪たちとの冒険を通して、自分の持つ冒険心や好奇心を満たします。
この絵本は、多様な友達との楽しい交流や、驚きや発見に満ちた冒険の魅力を伝えてくれます。友達を求める子どもたちや、新しいことに挑戦したい子どもたちにとって、心に残る一冊になるでしょう。
作品のカテゴリー
この絵本は、へんてこな世界で展開される「かんた」の不思議な冒険を描いていることから「冒険・ファンタジー」にカテゴライズしました。
「かんた」が歌う「めっきらもっきら どおんどん」という言葉がへんてこな世界とリンクする「魔法の呪文」となって「かんた」を不思議な冒険に誘います。「かんた」が体験する冒険は、夢や願望に満ちていて、子どもたちをファンタジーの世界に引き込みます。
おすすめのポイント
この絵本の登場人物たちは、それぞれが独自の魅力を持っています。
主人公の「かんた」は勇敢で、分け隔てのない性格ですがさみしがり屋さんの一面もあります。彼のキャラクターは、読者に共感を呼び、物語に引き込む力を持っています。
また、登場する妖怪たちは、初めはその姿かたちが奇妙に感じられますが、物語が進むにつれて彼らの個性的な言動によって、次第にその魅力に惹かれていきます。
物語は、「かんた」と妖怪たちとの出会いから始まり、テンポよく展開します。その躍動感は、読者を飽きさせず、最後まで楽しむことができます。
そして、物語の結末は、ちょっとほろ苦く、読者に切なさや感動を与えます。その感動は、読者の心に長く残り、何度も読み返したくなる魅力を持っています。
さらに、ふりやななさんが描く絵が、物語の世界を彩ります。絵は、カラフルで鮮やかな色彩で描かれており、読者の目を楽しませてくれます。妖怪たちの個性や表情、動きを細かく表現しており、物語の雰囲気やテンポを高める役割も果たしています。
「めっきらもっきら どおんどん」は、幅広い年齢層の読者におすすめの一冊です。ぜひ、手に取ってその魅力を体験してみてください。
読み聞かせのヒント
「ちんぷく まんぷく … … めっきら もっきら どおんどん」というフレーズは、物語の中で重要な役割を果たしています。このフレーズは、めちゃくちゃなようですがリズムが良くて覚えやすく、妖怪たちとのコミュニケーションの手段となっています。このフレーズを口にするシーンごとの「かんた」の感情を考えながら、時にはやけっぱちで、時には楽しく歌ってみると、子どもの興味を引くことができます。あなたなりの「めっきらもっきら」を探してみてください。
また、それぞれの妖怪たちのセリフでは、声色やトーンを変えてみてください。それぞれの妖怪が持つ個性や特徴を、声色やトーンで表現することで、物語はより生き生きとしたものになります。
ただ、あまり大げさにやりすぎると物語の雰囲気を損なう可能性もあります。この絵本のテーマの一つに「多様性の受容」があります。子どもたちにも、妖怪たちをからかったり、馬鹿にしたりするような印象を与えないよう注意してください。
まとめ
この記事では、「かんた」が不思議な世界の夜の山で妖怪たちと出会う冒険を描いた絵本「めっきらもっきら どおんどん」を紹介しました。
この絵本の主なテーマの一つに「多様性の受容」があります。自分とは姿かたちの異なる妖怪たちと対峙して、最初は警戒する「かんた」ですが、行動を共にすることで、次第にかれらを受け入れる柔軟性を見せてくれます。「かんた」の行動は多様な者を受け入れて共感することの大切さを教えてくれます。
この絵本は、読者を魅了するファンタジーの世界へと誘います。それはまるで、夢のような冒険の旅へと誘われるような感覚です。それでは、あなたも「めっきらもっきら どおんどん」のフレーズを唱えて「かんた」と一緒に不思議の世界に旅立ちましょう。