作・絵:今井弓子 出版社:岩崎書店 初版:1978年9月20日 ページ数:28ページ サイズ:(H)24.5×(W)21.5cm / 重さ:380g
絵本の内容
「せっけんつるりん」は、今井弓子さんの作と絵による絵本です。この絵本は、「ぼく」がお風呂でおじいちゃんの頭を洗っていたら、せっけんが窓から外に飛び出してしまう、といったところから始まる物語です。裸のままお風呂を飛び出してせっけんを追いかける「ぼく」と、せっけんを追いかける途中で出会う人々とのふれあいをユーモラスに描いています。
せっけんはどこに行ってしまうのでしょうか。「ぼく」は、無事せっけんを捕まえておじいちゃんが待つお風呂に戻ってこられるのでしょうか。物語の続きは、ぜひ絵本を手にとって読んでみてください。
主なテーマ
この絵本の主なテーマは、「おじいちゃんと『ぼく』との内緒のエピソード」や「せっけんを追いかける冒険」です。お風呂でおじいちゃんの頭を洗ってあげる「ぼく」は、せっけんが飛んでいくのを見て、裸のままお風呂を飛び出します。その様子をおじいちゃんが優しく見守ります。
「ぼく」とおじいちゃん、そして街の人々とのほのぼのとした日常が温かく描かれています。
作品のカテゴリー
この絵本は、お風呂でのひとときを楽しむおじいちゃんと「ぼく」の日常を描いていることから「家庭・日常生活」にふさわしいと考えました。しかし、せっけんが窓から飛び出してしまうという非日常の出来事から「ぼく」の冒険が始まります。この部分は「冒険・ファンタジー」の要素も含まれています。このような日常と非日常の対比が子どもたちの想像力を刺激するのだと感じます。
おすすめのポイント
この絵本のおすすめのポイントは、「ぼく」とおじいちゃんや街の人々との温かなふれあい、色彩豊かで暖かみのある絵と、リズミカルな言葉と効果音です。
おじいちゃんは、窓から飛び出していく「ぼく」を優しく見守ります。街の人々は、「ぼく」が裸でせっけんを追いかけるのを見て、心配したり、注意したり、励ましたりします。「ぼく」を取り巻く人々のひたすら温かいまなざしや優しさが感じられます。
影の濃淡を効果的に使った絵は、おじいちゃんと「ぼく」のまん丸の笑顔やお風呂の温かみを感じさせ、街の人々の豊かな表情やせっけんの飛ぶ様子、「ぼく」の動きを楽しく表現しています。
言葉と効果音は、「つるりーん」という音をテンポよく繰り返して、せっけんの飛ぶ様子や「ぼく」の動きを楽しく表現しています。
読み聞かせのヒント
この絵本には、「つるりーん」という効果音が随所に散りばめられ、せっけんの動きに合わせて、テンポよく繰り返されています。子どもたちは言葉やリズムの繰り返しが大好きです。この絵本を読み聞かせするときには、「つるりーん」という効果音を声の高さや強さを変えてみると、せっけんの飛び跳ねる様子がわかりやすく、子どもの視覚と聴覚を刺激することができます。
また、この絵本は、色彩豊かな暖かみのある絵で「ぼく」やせっけんの動き、お風呂や街の風景を美しく表現しています。先を急がずにゆっくりと読み進めて絵をじっくり見せることで、子どもの観察力を刺激します。絵本を開くたびに新しい発見があるかもしれません。
さらに、読み進める過程で子どもに質問を投げかけてみると、子どもの想像力や思考力を引き出すことができます。「もし自分が『ぼく』だったらどうする?」と想像させ、せっけんがどこに行くのか、人々との出会いや見える景色をどう感じるのかなどを尋ね、子どもの考えや意見に耳を傾けてみてください。
まとめ
この絵本は、お風呂でおじいちゃんの頭を洗っていた「ぼく」が、せっけんを窓から外に飛ばしてしまい、そのせっけんを追いかけていく途中で出会う人々とのふれあいを描いた心温まる絵本です。
色彩豊かな暖かみのある絵と、「つるりーん」という音の効果的な使い方が印象的です。読み聞かせするときは、音を楽しんだり、絵をじっくり見せたり、子どもに質問を投げかけたりして読むと、子どもの聴覚や観察力や想像力や思考力を刺激することができます。この絵本は、親にとっても読んでいて楽しい絵本です。それぞれのページが、やさしさと楽しさに溢れています。