「Excelのピボットテーブルで集計しているけど、分析に必要な項目が元のデータにない…」
例えば、「単価」と「数量」はあるけれど、本当に見たい「売上金額」の合計が出せない。 そんな時、元のデータに慌てて数式列を追加したり、ピボットテーブル内の値を別シートにコピペして計算したりしていませんか?
実はその作業、必要ありません。
この記事では、元のデータを一切変更せずに、ピボットテーブルの中だけで新しい計算項目を追加できる「集計フィールド(集計列)」機能の使い方を、具体的なサンプルを使って分かりやすく紹介します。
このテクニックを使って、みなさんのピボットテーブルをスマートに進化させてください。
「集計フィールド」とは?
集計フィールドとは、ピボットテーブル内で、既存の項目(フィールド)を使って新たな計算項目を仮想的に追加できる機能です。
集計フィールドのメリット
- 元のデータはそのまま!: 元の表を汚したり、数式を追加したりする必要が一切ありません。
- 分析を迅速に!: わざわざ元データに戻ったり表をコピペする手間なく、ピボットテーブル上で分析を完結できます。
- 自動で計算・更新: 元データが更新されても、計算フィールドは自動で再計算してくれるのでメンテナンスが楽です。
【実践】カフェの売上データで「売上金額」を計算してみよう
それでは、架空のカフェのシンプルな売上記録を使って、実際に計算フィールドを作成する手順を見ていきましょう。
STEP 0:サンプルの準備
まずは、以下のサンプルデータをExcelシートにコピーしてください。
【サンプルデータ:架空のカフェの売上記録】
購入日 | カテゴリ | 商品名 | 単価 | 数量 |
9月15日 | ドリンク | コーヒー | ¥450 | 2 |
9月15日 | フード | チーズケーキ | ¥500 | 1 |
9月16日 | ドリンク | 紅茶 | ¥480 | 1 |
9月16日 | ドリンク | コーヒー | ¥450 | 3 |
9月17日 | フード | サンドイッチ | ¥600 | 2 |
9月17日 | ドリンク | 紅茶 | ¥480 | 1 |
9月18日 | フード | チーズケーキ | ¥500 | 2 |
9月18日 | ドリンク | コーヒー | ¥450 | 1 |
STEP 1:基本的なピボットテーブルの作成
まず、このデータから「カテゴリごとの販売数量」を集計するピボットテーブルを作成します。 「行」にカテゴリ
、「値」に数量
を配置してください。

STEP 2:課題の確認
カテゴリごとの販売「数量」はわかりましたが、本当に知りたいのは「売上金額」です。しかし、元のデータには「単価 × 数量」を計算した列がありません。 ここで、いよいよ集計フィールドの出番です。
STEP 3:「集計フィールドの挿入」ダイアログを開く
- ピボットテーブル内の任意のセルを選択します。
- リボンメニューから「ピボットテーブル分析」タブをクリックします。
- 「フィールド、アイテム、セット」を選択し、ドロップダウンメニューから「集計フィールド」をクリックします。

STEP 4:集計フィールドに名前と数式を入力する
ダイアログボックスが表示されたら、以下の通り設定します。
- 名前: 分かりやすい名前を入力します。ここでは
売上金額
としましょう。 - 数式:
- まず、数式ボックスに「
=
」が入力されていることを確認します。 - 下の「フィールド」一覧から「
単価
」を選択し、「フィールドの挿入」ボタンをクリックします。 - 半角で「
*
」(アスタリスク)を入力します。 - 再度、「フィールド」一覧から「
数量
」を選択し、「フィールドの挿入」ボタンをクリックします。 - 最終的に、数式が
='単価' * '数量'
となっていればOKです。
- まず、数式ボックスに「

- 入力が終わったら「OK」ボタンをクリックします。
STEP 5:結果の確認
ピボットテーブルを見てください! 自動的に「合計 / 売上金額」という新しい列が追加され、カテゴリごとの売上金額が瞬時に計算されました。値フィールドの表示形式を「通貨」に変更すれば、さらに見やすくなります。

これで、元のデータを一切変更することなく、分析に必要な指標を追加することができました。
まとめ
今回は、ピボットテーブルの「計算フィールド」機能を使って、「単価」と「数量」から「売上金額」を算出する方法を紹介説しました。
この機能を使いこなせば、わざわざ元データに作業列を追加したり表をコピペしたりする手間が省け、データ分析が格段にスムーズになります。四則演算(+ - * /
)を組み合わせることで、様々な指標を自由に作成できますので、ぜひあなたの業務でも活用してみてください。