【Excel業務が変わる!】Office 2016/2019 サポート終了間近!Microsoft 365へ移行してXLOOKUP関数を使いこなそう

「え、まだOffice 2016/2019を使ってますけど、なにか?」――そんな声が聞こえてきそうです。実は、これらのバージョンのOfficeは、まもなくサポートが終了すしまする予定です。セキュリティリスクや機能面を考えると、この機会に最新の Microsoft 365への移行を強くおすすめします

なぜなら、Microsoft 365版のExcelには、Office 2016/2019にはなかった非常に便利で強力な関数が多数追加されているからです。例えば、FILTER関数、SORT関数、UNIQUE関数など、これまで複雑な数式や操作が必要だった処理を、いとも簡単に実現してくれる関数群が登場しています。

中でも、今回特に注目したいのが XLOOKUP関数 です。

XLOOKUPとは? VLOOKUPユーザーに知ってほしい革新性

Excelユーザーにとって必須のスキルとも言えるVLOOKUP関数。しかし、「検索値が左端にないと使えない」「検索範囲の列番号を数えるのが面倒」「エラー処理が別途必要」といった、かゆいところに手が届かない部分があったのも事実です。

XLOOKUP関数は、まさにこれらのVLOOKUP関数の弱点を克服し、さらに使いやすく進化した関数と言えます。

VLOOKUP関数については次の記事も参考にしてください。

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XLOOKUP関数の主なメリット:

  1. 検索方向の自由度向上: VLOOKUP関数のように検索値が検索範囲の左端にある必要はありません。右側の列を検索値として左側の列のデータを取得することも可能です。
  2. 列番号指定の廃止: VLOOKUP関数では、戻り値として取得したいデータが何列目にあるかを数値で指定する必要がありましたが、XLOOKUP関数では戻り値の範囲を直接指定するため、列の挿入・削除があっても数式が壊れにくくなりました。
  3. デフォルトで完全一致検索: VLOOKUP関数では、検索の型を省略すると近似一致となり、意図しない結果を招くことがありましたが、XLOOKUP関数はデフォルトで完全一致検索を行います。これにより、より安全で直感的な操作が可能です。
  4. 見つからない場合の処理が簡単: VLOOKUP関数ではIFERROR関数などを組み合わせる必要があった「該当データなし」の場合の処理も、XLOOKUP関数なら引数一つで指定できます。
  5. 逆順検索も可能: 検索範囲の末尾から検索を開始することも可能です。

これらの進化により、XLOOKUP関数は非常に強力かつ使い易い関数となっています。

サンプルデータのご紹介

今回は、以下のようなシンプルな「学生名簿」を使って解説を進めます。

XLOOKUP関数の基本構文

まず、XLOOKUP関数の基本的な構文を確認します。

=XLOOKUP(検索値, 検索範囲, 戻り値範囲, [見つからない場合], [一致モード], [検索モード])

  • 検索値: 検索したい値(例: 学生ID “G003″)。
  • 検索範囲: 検索値が含まれる列または行(例: 学生IDが入力されているA列 A2:A6)。
  • 戻り値範囲: 返したい値が含まれる列または行(例: 氏名が入力されているB列 B2:B6)。
  • [見つからない場合] (省略可能): 検索値が見つからなかった場合に表示する値(例: “該当者なし”)。
  • [一致モード] (省略可能): 検索の一致方法を指定(デフォルトは0: 完全一致)。
  • [検索モード] (省略可能): 検索の方向を指定(デフォルトは1: 先頭から検索)。

省略可能な引数が多いのも、XLOOKUP関数の使いやすさのポイントです。

XLOOKUP関数の使用例

使用例1:基本的な検索 (学生IDから氏名を検索)

学生ID「G003」の「氏名」を検索してみます。これはVLOOKUP関数の基本的な使い方と同じようなケースです。

  • 検索値: “G003” (例えば、セルG2に入力)
  • 検索範囲: 学生IDの列 A2:A6
  • 戻り値範囲: 氏名の列 B2:B6

セルH2に以下の数式を入力します。

=XLOOKUP(G2, A2:A6, B2:B6)

結果: セルH2には「高橋 花子」と表示されます。

VLOOKUP関数のように、戻り値範囲が検索範囲の何列目かを数える必要がないため、直感的で間違いにくいのが特徴です。

使用例2:左方向への検索 (メールアドレスから氏名を検索)

これはVLOOKUP関数では面倒だった、検索範囲より左側の列のデータを取得するケースです。 例えば、メールアドレス「tanaka.taro@example.com」の「氏名」を検索してみます。

  • 検索値: “tanaka.taro@example.com” (例えば、セルG3に入力)
  • 検索範囲: メールアドレスの列 E2:E6
  • 戻り値範囲: 氏名の列 B2:B6

セルH3に以下の数式を入力します。

=XLOOKUP(G3, E2:E6, B2:B6)

結果: セルH3には「田中 太郎」と表示されます。

XLOOKUP関数なら、検索範囲と戻り値範囲を柔軟に指定できるため、このような検索も簡単です。INDEX関数とMATCH関数を組み合わせる必要もありません。

使用例3:見つからない場合の処理を指定する

学生ID「G010」(サンプルデータに存在しない学生ID)を検索し、見つからなかった場合に「該当なし」と表示させてみます。

  • 検索値: “G010” (例えば、セルG4に入力)
  • 検索範囲: 学生IDの列 A2:A6
  • 戻り値範囲: 氏名の列 B2:B6
  • [見つからない場合]: “該当なし”

セルH4に以下の数式を入力します。

=XLOOKUP(G4, A2:A6, B2:B6, "該当なし")

結果: セルH4には「該当なし」と表示されます。

VLOOKUP関数ではIFERROR関数などを組み合わせる必要がありましたが、XLOOKUP関数なら引数一つでスマートに対応できます。数式がシンプルになり、可読性も向上します。

使用例4:複数の値を同時に返す (スピル機能の活用)

XLOOKUP関数は、戻り値範囲に複数の列を指定することで、複数の値を一度に返すことができます。これはExcelの「スピル機能」と連携して動作します。 学生ID「G001」の「氏名」「学部」「学年」を一度に取得できます。

  • 検索値: “G001” (例えば、セルG5に入力)
  • 検索範囲: 学生IDの列 A2:A6
  • 戻り値範囲: 氏名、学部、学年の列 B2:D6 (複数の列を指定)

セルH5に以下の数式を入力します。

=XLOOKUP(G5, A2:A6, B2:D6)

結果: セルH5に「佐藤 愛子」、セルI5に「文学部」、セルJ5に「1年」と、隣接するセルに自動的に結果が表示されます。

これは非常に強力な機能で、関連する情報をまとめて取得したい場合に大変便利です。

スピル機能とは、数式を1つのセルに入力するだけで、その数式の結果が自動的に複数の隣接するセルに「あふれ出るように」表示される機能のことです。

これまでは、複数のセルに同じ計算結果を表示したい場合、数式をコピー&ペーストしたり、オートフィル機能を使ったりする必要がありました。しかし、スピル機能を使えば、元の数式を1つのセルに入力するだけで、Excelが自動的に必要な範囲(スピル領域)に結果を展開してくれます。

これにより、データの並べ替えや抽出、ユニークな値のリストアップなど、さまざまな作業が劇的に効率化されます。

既存ファイルはどうする? 新規作成からはXLOOKUPへ!

「これまでVLOOKUP関数で作りためてきた膨大なExcelファイルはどうすればいいの?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。既存のファイルを無理にXLOOKUP関数に書き換える必要はありません。

しかし、これから新規に作成するExcelファイルに関しては、積極的にXLOOKUP関数へ切り替えていくことを強く推奨します。これにより、以下のようなメリットが期待できます。

  • 作業効率の大幅な向上: 関数の記述がシンプルになり、複雑な条件分岐やエラー処理を組み合わせる手間が減ります。
  • 関数の可読性向上: 数式が直感的で理解しやすくなり、他の人がファイルを引き継ぐ際や、後日自分自身が見返す際にもメンテナンス性が向上します。
  • エラーの低減: より安全なデフォルト設定や、柔軟な検索オプションにより、意図しないエラーが発生するリスクを抑えることができます。

Microsoft 365移行のすすめ – Excelだけじゃない魅力

Microsoft 365への移行は、単にExcelの新関数が使えるようになるだけではありません。

  • 常に最新の機能とセキュリティ: サブスクリプションモデルであるため、常に最新バージョンを利用でき、セキュリティアップデートも迅速に提供されます。
  • クラウド連携の強化: OneDriveを介したファイルの共有や共同編集がスムーズに行え、場所を選ばない働き方をサポートします。
  • 豊富なアプリケーション: Word、PowerPoint、Outlookはもちろん、Teamsなどのコミュニケーションツールも利用でき、業務全体の生産性向上に貢献します。

まとめ:変化をチャンスに!新しいExcel体験を

Office 2016/2019のサポート終了は一つの区切りですが、これは新しい働き方、より効率的な業務スタイルへと進化する絶好のチャンスでもあります。

Microsoft 365へ移行し、XLOOKUP関数をはじめとする新しいExcelのパワーは自分自身のビジネススキルを飛躍的に向上させる可能性があります。まずは、新規作成するファイルからXLOOKUP関数を試してみてください。その使いやすさと効率の良さに、きっと驚くはずです。

この記事が、あなたのExcelライフをより快適で生産的なものにするための一助となれば幸いです。

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