Power Automateは、Microsoftが提供する強力な自動化ツールです。これにより、さまざまなアプリケーション間でのタスクを簡単に自動化できます。Power Appsと組み合わせることで、専門的な技術知識や開発経験がなくても、日常業務を効率化し、生産性を高めるモバイルアプリやWebアプリを比較的簡単に作成することが可能です。
はじめに
Power Apps(Teams)を使用してアプリを構築する際には、Dataverse for TeamsやListsをデータソースとして選択することが、多くのビジネスプロセスにおいて効果的です。これらのプラットフォームからデータを取得することは、業務の効率化において重要な機能を担います。また、それらのデータをExcelに書き出して独自の集計や分析に利用するといったニーズも数多くあることと思います。
ただし、データベースのフィールドの形式によっては、そのままExcelに書き出すことができない場合があります。本記事では、そんなデータ型の一つである複数選択列のデータをExcelに書き出すときのちょっとしたコツを紹介します。
なお、この記事は、Power Automateを起動してフローを作成し、タスクを自動化するなど、ある程度Power Automateの基本操作ができる方を対象にしています。Power Automateの基本操作から学びたい方は、別途関連サイトや書籍を参考にすることをおすすめします。
複数選択列とは
複数選択列は、ユーザーが複数の選択肢から複数の項目を選ぶことができる機能で、主にカテゴリ選択に利用されます。
このような列のデータをExcelのセルに落とし込む際に、単に列名を指定するだけでは正しく追加されません。例えば、”来訪者”という複数選択列の場合、”本人, 保護者, 教職員”というように選択された項目がリスト形式で保存されます。このデータをExcelに正確に書き出すには、個々の選択肢を適切に処理する必要があります。
DataverseやSharePointリストのデータをExcelの表に書き出す方法は次の記事も参考にしてください。
Power Automateは、Microsoftが提供する強力な自動化ツールです。 これにより、さまざまなアプリケーション間でのタスクを簡単に自動化し、日常業務を効率化することが可能です。特に、Power Appsと組み合わせることで、[…]
また、複数選択列をデータテーブルコントロールなどで表記する方法については次の記事を参考にしてください。
はじめに Microsoft Power Apps(以下、Power Apps)は、専門性の高い技術や開発の経験を持たなくてもビジネスニーズに対応するモバイルアプリや Webアプリを比較的簡単に作成できるローコード ツールです。 […]
複数選択を許可する選択肢型の列のデータの追加方法
最初にリストからデータを取得し、各項目をループ処理して複数選択列のデータを適切に格納するための変数を設定します。次に、その変数に選択肢を追加し、複数選択列のデータを見やすい形式に整理したうえで、最終的にExcelに書き出します。
手順 1: SharePointリストから複数のレコードを取得する
Power Automateを使用して、指定のSharePointリストから、複数選択列を含むレコードを取得します。この手順では、フィルター条件を設定することで、特定のレコードのみを抽出し、後続の処理で無駄なデータを処理しないようにします。
- 「複数の項目の取得」アクションを追加します。
- 「サイトアドレス」と「リスト名」を入力し、取得対象のSharePointリストを指定します。
- フィルタークエリを設定します。ここでは、
年度
や来室者区分
などの特定の条件に基づき、必要なレコードだけを取得できるようにしています。このフィルターにより、取得したデータの整理が容易になり、次のステップで扱うデータが最適化されます。
手順 2: 複数選択列を処理するための変数の初期化
複数選択列データを一時的に格納する変数を初期化します。これにより、複数選択列のデータを効率的に処理できるようになります。
- 「変数を初期化する」アクションで、配列型変数
RaisitsuSyaArray
を初期化します。 - 同様に「変数を初期化する」アクションで、結合用の文字列型変数
RaisitsuSyaString
を初期化します。
手順 3: 各レコードの変数の設定
取得した各レコードについて、複数選択列データを一時的に格納し、文字列結合の準備を行います。
- 「Apply to each」アクションで各レコードにループ処理を設定し、「複数項目の取得」アクションで得たデータ (
value
) をループします。 - ループ内で「変数の設定」アクションを使い、
RaisitsuSyaString
を空の値でリセットします。 - 同様に複数選択列データ(ここでは「来室者」など)を
RaisitsuSyaArray
に格納します。
手順 4: 配列の値を一つの文字列に結合
手順 3 で設定した変数に格納された複数選択列データを結合し、一つの文字列にします。
- 「Apply to each」アクションで
RaisitsuSyaArray
に格納されている各データをループし、「文字列変数に追加」アクションを使ってRaisitsuSyaString
に結合していきます。
手順 5: 整理したデータをExcelに書き出す
最後に、整理した複数選択列データをExcelファイルに出力します。
- 「表に行を追加」アクションで、データの書き出しを設定します。
- 「場所」「ドキュメントライブラリ」「ファイル」「テーブル」を設定し、SharePointに保存したExcelファイル内のテーブルを指定します。
RaisitsuSyaString
の変数をExcelの指定した列にマッピングし、データを反映させます。
まとめ
この記事では、Power Automateを使ってSharePointリストの複数選択列をExcelに書き出す方法をわかりやすく解説しています。複数選択列は、ユーザーが複数の選択肢から複数の項目を選べる便利な機能ですが、Excelに正確に書き出すには少し工夫が必要です。この記事では、具体的な手順を丁寧に説明しており、初心者でも安心して取り組める内容になっています。手順に従って進めることで、複数選択列のデータを効率的に整理し、Excelに書き出すことができます。本サイトではPower Automateを利用して日常業務の効率化に役立つ情報を掲載しています。ぜひ、業務の自動化に挑戦してみてください。